日本での成人になってからの失明原因の第1位

緑内障とは、目の圧力(眼圧(がんあつ):基準値10~21mmHg)により目の奥にある神経(視神経)が障害されて、見える範囲(視野)が狭くなる病気です。緑内障は、日本での成人になってからの失明原因の第1位(平成 17 年度研究報告書) であり、40歳以上の20人に1人の割合で発症します。

(症状、治療)

急性型(きゅうせいがた):「(急性)緑内障発作」ともいわれ、急激に眼圧が上昇するために、視力低下(かすみ)・目の痛み・頭の痛み・目の赤みが急に起こります。頭の痛みを起こすことが多いため、内科や脳外科にかかり、痛み止めをもらっても治らず、頭を調べても異常はない、よく見ると目が赤いとのことで眼科を受診し診断されることも多くあります。早急に眼圧を下げる治療が必要であり、薬物治療に加え、レーザー治療や手術(最終的には白内障手術)が必要な場合があります。

慢性型(まんせいがた):眼圧が8~40mmHg程度で通常は痛みを自覚しません。眼圧が上昇していてもゆっくり進行するので、自覚症状に乏しく、見えにくいという自覚症状がでてくるころにはすでに末期の場合が多いです。

現在の医療では、いたんだ神経は回復することができないので、緑内障で失われた視野は回復させることはできません。目薬で眼圧を下げることで進行をゆっくりさせる治療しかありません(視神経保護の治療も研究されていますが、はっきりしたものはまだありません)。目薬による治療がメインでありますが、目薬でコントロールできない場合は、手術治療が必要なこともあります。ただし治療は眼圧を下げる治療であり、あくまで目の機能を回復させる治療ではありません。大切なのは「早期発見、早期治療」です。

眼圧が正常範囲である10mmHg台であっても視野障害が進行するタイプの緑内障もあります。血流障害など眼圧以外のことも研究されていますが、その場合でも、さらに眼圧を低めに保つほうがいいと言われています。 当院では、視野検査に加え、光干渉断層計(OCT)という機器により神経線維の厚さを測定することによって、視野検査でまだ検出できないごく初期の緑内障も診断することができます。緑内障手術も行っていますので、初期から末期まで治療を行うことができます。

(手術)

眼圧を下げるための手術です。目薬などでコントロールできなくなった場合に行うことが多い手段でありますが、近年は低侵襲で手術が行うことができるようになったため、緑内障の状態により白内障手術と同時に行うことも多くなっています。緑内障の手術は、ハイリスクハイリターンの手術(線維柱帯切除術(せんいちゅうたいせつじょじゅつ)、トラベクレクトミー)とローリスクローリターンの手術(線維柱帯切開術(せんいちゅうたいせっかいじゅつ)、トラベクロトミー)の大きく2種類に分けられます。最近、線維柱帯切開術は、目の中から行う方法(眼内法)も開発され、白内障手術と同じ傷口から、同時に手術することができるようになりました。そのため手術侵襲(しゅじゅつしんしゅう)が少なくなっています。手術時間は、線維柱帯切除術は約30-60分、線維柱帯切開術(眼内法)は約5-10分です。
手術はわざと出血を起こす手術となるため、出血が引くまでぼやっと見えにくいです(術後1~2週間)

①診察・手術決定
・診察・眼科検査を行い、緑内障の状態・検査結果をご説明します。
・「視力」「視野(見える範囲)」「眼圧(目の圧力)」をもとに、目薬の治療でコントロールできない場合、手術しか悪化する方法がない場合は手術をお勧めいたします。
・医師より手術についての説明をうけ、最終的に手術を決心された場合、術前眼科検査・術前全身検査を行います。
・手術適応確認後に手術申し込みをします。手術日は患者様のご都合と相談しながら決定させていただきます。
・スタッフより手術日前後の流れの説明を受けていただきます。
②手術当日
・午前中に来院していただきます。手術は午後からです。
・服用されているお薬のチェック、必要書類のチェック、手術中・手術後の注意点、目薬のさしかたなどスタッフから説明があります。
・必要に応じ付添の方(家人など)をお願いしております。
③術後診察
・(術後1日目(術翌日))
 診察時にガーゼを外します。その後、目の保護のため術後の眼帯をそのまま使用するか、ゴーグルを付けていただきます。
 ゴーグルはサングラスでも既製品のものでも大丈夫です。術後約1週間の診察時まではゴーグルで保護して下さい。
・(術後2日目(3日目)、約1週間後、約2週間後、約1か月後、約2か月後、約3か月後)
 視力検査、眼圧検査、細隙灯検査、(散瞳)眼底検査、視野検査などを行い、術後の状態および感染症などをチェックします。
・緑内障は治るわけではないのでほぼ永久に経過観察は必要となります。